BEND IT LIKE BECKHAM
ベッカムに恋して(2002/英)
監督 グリンダ・チャーダ
キャスト パーミンダ・ナーグラ
キーラ・ナイトレイ
ジョナサン・リースマイヤーズ

インド系イギリス人のジェスは、おしゃれや男の子よりもサッカーが大好きな女子高生。毎日男の子に混ざって公園でサッカーを楽しんでいた。ある日、偶然公園を通りかかった女の子ジュールズが、ジェスの優れた技術に目をつけ町の女子サッカーチームに入らないか、と勧誘する。彼女はそのチームのエースストライカーだった。広くてきれいなスタジアムで練習する女の子達を見て、喜びに胸踊らすジェス。しかし、インドの風習にこだわり保守的な生活を好むジェスの両親が、サッカーなど許してくれるはずがなかった…。

「ベッカムに恋して」という邦題はいただけない。これは、ベッカム好きのミーハーな女の子のお話ではなく、ベッカムの華麗なコーナーキックのように私もボールが蹴りたいと願う、サッカー好きな女の子のお話なのだ。けれども彼女はインド系イギリス人。女性はいい大学に入って教養を身につけ、素敵なインド人の男性と結婚するべき!と思っている両親にとってジェスは悩みのタネだった。 ストーリーはインド系のジェスの家族とイギリス人のジュールズの家族をベースに進んでいくのだが、2つの家族の違いがとても面白い。また面白いだけでなく、自らもインド系イギリス人女性の監督グリンダ・チャーダの視点で、文化や風習の違いが時として誤解を生んだり壁になるという、深い部分も描かれている。
主演のジェス役のバーミンダ・ナーグラはキャスティングされる時に「サッカー経験があります」と嘘をついたらしいが、彼女のプレイするシーンは本当に経験があるかのように見える。主要キャスト以外はサッカー経験者を起用しているだけあって、練習や試合のシーンなどもそれなりに迫力あるものになっている。インド人であること以外はごく普通のイギリス人の女の子と変わらないジェス。彼女がイギリス人の女の子と同じようにサッカーを楽しみ、白人の男性に恋をするという事がいかに難しいかを思い知らされ悩む姿には胸が痛む。
サッカーのドイツ戦とインド式の結婚式が同時進行するクライマックスは、ストーリーの先が読めつつもサッカーのスピード感とインドならではの豪華絢爛派手派手結婚式の艶やかさに目を奪われて盛り上がる。大作ではないけれど、見終った後には心地よい爽快感の残る1本だ。
ジュールズ役はパイレーツ・オブ・カリビアンで勇敢なヒロインを演じたキーラ・ナイトレイ。ジェスとジュールズが恋するコーチ役には、ベルベット・ゴールドマインでホモのロック歌手を怪演(熱演?)したジョナサン・リースマイヤーズ。本物のベッカムもちらっとだけ出演する。

おすすめ度/★★★★☆