Dinner Rush(2001/米)
監督 ボブ・ジラルディ
キャスト ダニ−・アイエロ
エドゥアルド・バレリーニ
ヴィヴィアン・ウー
カーク・アセヴェド

ニューヨーク、トライベッカにある人気イタリア料理店「ジジーノ」の一夜の顛末を描いた群像劇。
ルイ(ダニ−・アイエロ)は、レストラン「ジジーノ」のオーナーであると同時に、賭博の胴元を努めていた。しかしある日、相棒であるエンリコがクィーンズ地区のギャングに殺される事件が起きる。事件後のある晩、「ジジーノ」の店に招かれざる2人のギャングが押し掛けてくる。ルイとギャング、ルイから店を譲り受けたい息子でスターシェフのウード、腕はいいのにギャンブル狂いの副シェフ長ダンカン、大盛況の店の中で同時に進行して行く、個性的な登場人物達の様々なストーリー。

「ジジーノ」と言う店は実在する店で、監督のボブ・ジラルディがパートナーと展開しているレストラン事業のうちの1つである。しかし、映画の中の「ジジーノ」は、オーナーのルイが先代から受け継いだ、古くからあるイタリア料理店。店を譲り渡せとルイを脅すギャング、昔の味を大事にしたいルイと、斬新でお洒落な料理に変えて集客に成功した息子でシェフのウードとの確執、ウードと副シェフダンカンの関係、ウェイトレスのニコーレとダンカンとのラブストーリーなどをベースに、その晩ジジーノに集まった様々な客の小さなストーリーが一杯に詰まった、見ごたえのある映画だ。

この映画の見どころは、もちろん料理。映画の場面は9割が厨房とレストランの店内で、厨房シーンではBGMもない為、食材を切る音、炒める音、シェフが怒鳴る声、ウェイトレスがオーダーする声など、臨場感に溢れていておいしそうな匂いがこちらまで伝わって来そう。この映画を見終った後は、きっとイタリア料理を食べたくなる。
店先に溢れかえって列をなす客、走り回るウエイトレス、戦争のような忙しさの厨房、ほぼ全編に渡って場面が厨房と店内だけなのに、スピード感があふれていて全く飽きる事がない。ニューヨークと言う場所柄様々な個性的な人々が集まる店内も、不思議な空間になっていて面白い。予想もしていなかった結末にもあっと驚かされた。
監督のボブ・ジラルディは、元々ミュージッククリップやCMのクリエーターというだけあって、映画全体の雰囲気に独特のセンスが感じられる。俳優陣では、レオンに出演していたルイ役のダニ−・アイエロ以外あまり見た事がない俳優ばかりだったが、実はアメリカでは有名な個性派俳優が多数出演しているらしい。アーティストの卵でウエイトレスのマルティを演じていたサマー・フェニックスは、なんと故リバー・フェニックス、ホアキン・フェニックスの実妹だった。
また1つ「かっこいい映画」を見つけて、得した気分になった。ちなみに、ウード役のエドゥアルド・バレリーニもカッコよかった。

おすすめ度/★★★★★