The Last Samurai
(2003/米)
監督 エドワード・ズウィック
キャスト トム・クルーズ
トニ−・ゴールドウィン
渡辺 謙
真田弘之
小雪  ほか

1870年代の日本。その頃の天皇の側近達は積極的に諸外国と接し、近代国家の建設を目指していた。外国との貿易に勤しみ、軍隊強化の為にアメリカより1人の男を呼び寄せる。かつて、国と名誉の為に命をかけた男、ネイサン・オールグレン(トム・クルーズ)。ネイサンは、政府の軍隊に西洋式の闘い方を指導する。ある日、政府軍と反軍の騎馬隊が衝突し、ネイサンは反軍の捕虜となってしまう。騎馬隊を率いる「勝元」という侍と出会い、ネイサンは次第に侍の行き方に影響されて行く。

おそらく、明治維新の頃かその少し後だと思われる。勝元もネイサンも当然架空の人物で、歴史的事実に基づくとこの時代にはすでに侍はいなかったのでは…?という疑問もあるけど、そういう細かい事にこだわらなければ大いに楽しめる映画である。

この映画のテレビCMでも「渡辺謙がすごい!」と言ってたけど、渡辺謙が本当にすごい。いい味出してる。トム・クルーズ主演の侍映画って、どんな映画じゃい?とあまり期待していなかっただけに、予想以上に面白かった。まず、日本の俳優陣がトム・クルーズに飲まれていない。そして、よくある「外国人から見たおかしな日本人」というのも出て来なかった(ここが一番心配な所だった)。日本びいきの外国人が日本を美化し過ぎた映画、と言われれば確かにそうだけど、日本を美化して何が悪い?外国人がこんなにも日本をいい意味で勘違いしてくれてるならいいじゃない!と開き直って「日本人で良かったぁ」と単純に感動してしまった。

確かに幕末に関する書籍を読むと、侍とは勝元のようにカッコいいばかりでなくもっと血なまぐさく人間臭い。見境なく人を斬り殺せる侍もいれば、人を斬りに行って土壇場で恐くなって逃げたり、仇討ちに行ったのに仇の妻や子供を見かけてしまって情に絆されて斬れなくなる侍もいた。この映画ではそういう所を全て省いて、侍を素晴らしく美化している。…と、分かっていながらも「いいじゃん!かっこいいんだよ、侍は。」とやっぱり開き直る私。

トム・クルーズはあまり好きではないのだけど、彼の映画の中ではこの映画がもっとも良かったと思う。トム・クルーズの侍姿も思ったより様になっていたし…。ちなみに、バグリー大佐を演じたトニ−・ゴールドウィンは、私の大好きな映画「恋する遺伝子」(アシュレイ・ジャッド、ヒュー・ジャックマン)の監督を努めたその人だった。歴史的事実はまったく無視で実在した偉人も出てこない分、これは歴史が苦手な人向けの映画である。ただ単純に、感動して下さい(笑)

おすすめ度/★★★★★